JICHA会員が勧める国際協力を始めたい方への研修コースの案内

「国際協力はじめの一歩」その1

 このページでは、これから国際協力活動をやってみたい人、国際に興味はあるが何から手をつけたらよいのかその方法がみつからない人のために、JICHA会員の体験に基づいたお勧めの研修コースを紹介します。

<新興再興感染症派遣専門家研修>

 (情報提供:国立成育医療センター膠原病感染症科 高梨 さやか先生)

 国際的な保健・福祉の発展に貢献することを目的に、当時の厚生省の外郭団体として設立した国際厚生事業団が、1996年より毎年行っている研修。新興再興感染症分野の国際協力の要請があった際、迅速に対応できるため専門家を養成しておこうという趣旨のもとに、ICDDR,B(バングラデシュ下痢性疾患研究センター)で1ヶ月間のプログラムが組まれている。
 内容は、微生物学実習のような実験室的なものから、各種新興再興感染症の最新の知見についての講義、ICDDR,B付属病院での臨床実習、村落地域・スラム街での公衆衛生活動の視察など多岐に及ぶ。本研修には例年、微生物学者、公衆衛生の専門家など基礎分野からの参加者も多いようだが、私が参加した年は臨床医が多かったこともあり、病院実習の時間を多くとるなどの柔軟な対応をしていただいた。コレラ患者特有のrice watery stoolのfishy odorを直に経験したり、リーシュマニアの女児の巨大な肝脾腫を恐る恐る触診したりと、貴重な経験を得る場面が多かった。
 ICDDR,BはORS(oral rehydration solution)の開発などを評価されて、初めてのBill Gates Award for Global Healthを受賞するなど、世界の健康問題に貢献し続けている研究機関ということもあり、各国から研究者が集まってきていて、その講義・議論は非常に刺激的であった。発展途上といわれる国に一ヶ月という時間生活するという経験自体も、今後国際保健医療協力に携わっていく上で意義深いと思う。
  研修希望者には書類選考と、英語の筆記・リスニング試験、面接試験が課される。研修は全て英語で行われるが、英語力の要求基準というのは設けられておらず、国際協力の現場において対外交渉をしうる英語力であればよいとされる。新興・再興感染症に関連する専門分野の経験があれば、必ずしも医師である必要はないとのことであるが、最近は医師の参加がほとんどであるようだ。研修終了後、JICA、国際厚生事業団等の感染症分野の国際協力に参加する意志があることが参加資格にもなっており、本研修は、国際保健医療協力に関わっていきたいと考える人には最適のものといえるだろう。
 応募要綱などの詳細は国際厚生事業団:http://www.jicwels.or.jp/まで。